【書籍化&コミカライズ】離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています(離婚予定の結婚なのに〜)
昔からの幼馴染であり、仕事上ではボス。
そして財界一の美男子と謳われる彼は、本当であれば楯突くことが許されない存在だが、つい、長年のよしみもあり“秘書の私”を崩して顔をしかめてしまった。
「要件らしきことは、なにか……?」
このときばかりは――嫌な予感しかしなかった。
「いや、何も言ってなかったが、いつもの報告じゃないかな」
秘書室統括責任者を兼任していることから、グループ全体の秘書室内の報告や、孫の永斗さんの近況報告は定期的に求められるが、先日永斗さんとともに招かれた自宅で済ませたばかりだ。
だから、その線は薄いだろう。
「それか、島田に会いたいのかも? 君も孫みたいな存在だって言ってたから」
秘書仕様を崩しかけた俺をやんわりからかう永斗さんは、見た目とは裏腹に案外腹黒い。
そんなわけないだろう、とでかけた本音を飲み込み、差し出された書類を受け取った俺は「承知しました……」と、平常を装い執務室を後にする。