クールな美形王子の誘惑



「とりあえず部屋行こう?」



「…うん」




さくらちゃんが手を差し出してくれて、その手をとって立ち上がる。



フラフラしながら部屋に入ったら、


キッチンからトントントントンってテンポいい音が聞こえてきた。




「……八雲クン手際いいね」



「一人暮らしする奴が自炊もできないって恥ずかしいでしょ」



「……自炊できない奴ここにいるけど」




プロみたいな速さで玉ねぎを切っていく八雲さん。



隣でそれを観察してる梓くんは、「やばい涙でてきた」って、何もしてないのに玉ねぎの攻撃をくらっていた。



梓くんは部屋に入ってきた私を見ることはなく…


心なしか八雲さんの隣でそわそわしてる気がしたけど、顔合わせるのも気まずいからそっちに集中してくれると助かる。




< 86 / 242 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop