クールな美形王子の誘惑
「とりあえず部屋行こう?」
「…うん」
さくらちゃんが手を差し出してくれて、その手をとって立ち上がる。
フラフラしながら部屋に入ったら、
キッチンからトントントントンってテンポいい音が聞こえてきた。
「……八雲クン手際いいね」
「一人暮らしする奴が自炊もできないって恥ずかしいでしょ」
「……自炊できない奴ここにいるけど」
プロみたいな速さで玉ねぎを切っていく八雲さん。
隣でそれを観察してる梓くんは、「やばい涙でてきた」って、何もしてないのに玉ねぎの攻撃をくらっていた。
梓くんは部屋に入ってきた私を見ることはなく…
心なしか八雲さんの隣でそわそわしてる気がしたけど、顔合わせるのも気まずいからそっちに集中してくれると助かる。