魔法の使い方２　恋のライバル、現る！？
　ミーナが目を覚ました頃、日は落ちかかっていた。鮮やかなオレンジの空に、眩い陽光が雲を照らす。照らされた雲は黄金に輝き、空をより煌びやかに染め上げている。

　暗くなり始めた部屋で目を覚ました彼女は長時間寝ていたことに気づき、広間へ駆け下りた。

「あら、起きたのね。ちょうど今呼ぼうと思ったところよ」

　広間に降りたミーナ。タイミングよく夕食が出来上がったらしい。テーブルを見渡すと、好きなメニューばかり並んでいる。そして寝ている間に帰ってきたであろう彼女の父パトリスも席についていた。

「ああ、おかえりなさい、ミーナ」
「ただいま！ 聞いたよ、お父さんの話！」
「それは恥ずかしいなあ」

　照れ笑いを浮かべながら反応する様が彼らしい。彼女は家に帰ってきたのだと改めて実感する。

「それでね、父さんと母さんにお願いがあるの」

　話題を切り出すミーナ。パトリスとマーテルは彼女の言葉に耳を傾ける。

「あのね、明日から、魔法を教えてほしいの。来週は王都エルテブールに戻るから、それまでの間なんだけど」
「もちろんさ！」
「任せてね」

　即答の二人。魔法から逃げていたミーナが自ら魔法を学びたいと言ったのだ。これ以上素晴らしいことはない。

「はいはーい！ 私も一緒にレッスン受ける！」

　勢いよく手を挙げたのはソロルだ。彼女は驚いてソロルに尋ねる。

「私はまだまだ初心者みたいなものだから、一緒にやっても退屈だよ？」
「初心を忘れるなって言うし、せっかくだから一緒にやりたい！」

　ソロルが問題ないとばかりに主張すると、マーテルも賛同する。

「そうね。ミーナも呪文や魔幻語の基礎知識はあるだろうから、実践練習ばかりだろうし、いいんじゃないかしら？」






　こうして一家総出の魔法レッスンは始まった。
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