魔法の使い方2 恋のライバル、現る!?
「誰だ?」

 不意にヴィオルドが声をあげた。直後フィルの視線がミーナのいる方向へ向かう。ミーナは諦めて誤魔化し笑いをしながら、二人の前に姿を現した。ヴィオルドは無表情でその動作を見ている。

「あ、お構いなく続けちゃってください……」

 なんとか取り繕おうと彼女は軽い調子で言いかけるが、消え入るような声しか出ない。場はしんと静まり返っており、静寂が怖い。

 ヴィオルドはわざとらしくため息をついて見せたあと、ミーナに手招きをした。彼女はそれを見てふらふらと二人の元へ行く。

「これはフィルにしか話していなかったんだが、中途半端な情報で余計な誤解を招くのは面倒だからお前にも話そう」
「……あたし、先に仕事戻ってますね」

 ミーナがヴィオルドの近くへ来たとき、彼は話を切り出した。無表情のヴィオルドとフィルから、それが明るい話でないことは明白だ。そして彼女は去っていくフィルを視界に入れながらこうも思った。

 ――なぜフィルだけが知っているのだろう。




 ヴィオルドは話を続けている。彼の過去について語っていた。
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