魔法の使い方2 恋のライバル、現る!?
Ŕætïs tĭhü ãsuŕ(悪夢の) đġerġ il(闇よ),
 phíxèn yĥuï víshèn(光に消えろ).

 Bŷgĕzh suŕ ċim(焔のなかで) şhônţe ýöly(踊る子ども),
 és kiňïş đġerġ suŕ(終わらぬ闇の) ëhõţi(子守唄).

 Çías il élè(それらは全て) fíňön mú(朝陽に) víshèn tĭhüã hesůmě(消える夢なのです).」

 ミーナは自室でヴィオルドのための魔法薬を調合する。二度目なので手つきは初めてのときより、板についてきていた。液体が淡く光り出すのを確認しながら、鍋の中をかき混ぜる。出来上がった薬を、ヴィオルドが持ってきた瓶に入れて栓をする。

「――よし」

 完成品を窓から差し込む日光に透かしながら、ミーナは出来に満足した。色、粘性、透明度、どれも良い感じだ。そのまま階下へ駆け下りて、ヴィオルドの元へ行く。一階では彼がコーヒーを飲みながら待っていた。

「はい、できたわよ。お金とってないんだから感謝しなさい」
「感謝してる。本当に助かってる」

 真っ直ぐな視線に優しげな声音で、感謝の意を述べるヴィオルド。ミーナは言葉を失ってしまう。これは反則だろう。胸がどきどきして、ヴィオルドの顔を直接見ていられない。彼女は顔が熱くなるのを感じながら冷静に言葉を選ぼうとするも、この不意打ちには勝てなかった。

「そ、そう。ならよかったわ。用が済んだのなら早く帰ってちょうだい」
「いや、今日は家に泊まっていく」
「え……」

 突然の宣言に固まってしまう。今日のヴィオルドは予期せぬことばかり言う。ミーナはいよいよ心拍数が異常事態に陥りつつあるが、それは決して憂うべきことではなかった。それは彼女にとって嬉しい展開である。また二人で過ごせるのだ。

 ミーナはユリウスにヴィオルドが泊まることを報告し、彼を二階へ押しやった。
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