輝きのままで
つくづく、不思議だ。

どうしてピノコをこんなに好きになったのか、理由を問われても答えるのは難しい。

友人らの言う「愛嬌のある子は可愛い」「ノリのいい子がいい」などの多数派の価値観。

別に、それがダメとは決して思わない。

しかし、一人きりで相模湖へやって来たピノコは、あどけない顔立ちに、独特な憂いを帯びていた。

その雰囲気に吸い寄せられたのだろうか。

俺自身も、どちらかというと普段はテンションは高くなく、口数も多くはないのに、ピノコと居ると自然に饒舌になるのもまた不思議である。

沈黙が気まずいわけではなく、当たり前のようにそうなる感じだ。

毎日、別に大した出来事がなくても、とにかく話したくなる。

それは出逢った頃から変わらない。

これじゃまるで、1日の出来事を家族に聞いて欲しがる子供みたいだな…。

何処か影のある雰囲気に惹かれたのに矛盾しているが、日に日にピノコの笑顔の数が増えていくことは心底、嬉しい。
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