現実主義者の恋愛事情・王子を一時預かりします  レイと綺麗

素直でいい子じゃないか・・・

綺麗は、ニコニコ顔の王子を
つい見つめてしまった。
でもさぁ・・
フランス人の彼氏がいるんだよね・・・

BLなら・・・
この容姿なら・・
<受け>に違いない。
<攻め>は年上で、寡黙で渋い感じの紳士で・・・

綺麗は腐女子ではないが、
瞬間的に妄想をしてしまった。

王子がベッドで組み伏せられ、
頬を赤く染めて、
イヤイヤをしている・・・

ムンムンムーーーン

頭をグワシとかきむしって、
妄想を強制終了させた。

食事が終わり、食器の片づけ方を教えた。
「まぁ、少しずつ覚えていけばいいよ。
先にシャワー浴びちゃってください」

「ありがとうございます。」
王子は買ったばかりのバスタオルと、衣類を胸に抱えた。

「洗濯物は明日、自分でやってね。
後で洗濯機の使い方を教えるから」
王子はうなずいて、浴室に入っていった。

明日の米の仕込みをしなくては・・
朝は弁当をつくる。

外食は金がかかるのだ。
おかずは、冷凍食品の特売のやつを入れるから手間をかけない。
米をといで、
炊飯器のタイマーをかけておく。

そこで王子が浴室から出て来た。
上は白のTシャツ、紺色の短パンで
普通の兄ちゃん姿になっている。

髪を洗ったのか、ビショビショで、
ぬれたままタオルをかぶっている。

「ドライヤー使うでしょ?」
綺麗は急いで、洗面所の戸棚から持ってきて渡した。

「ああ、ありがとうございます」
「そこのこたつの所で、使ってね」
リビングの一角はこたつにしてある。

堕落させる場所だが、
独り身には、
居心地のよい癒しの場でもある。
寝そべってTVを見るのにちょうどいい。

コンセントも近い。
携帯の充電もここでやる。

「すごい!こたつってこれですか?」
王子はこたつに感動をしている。

いちいち感動しなくてもいいのに・・・
綺麗は苦笑しながら

「髪乾いたら、
ドライヤーはそこに置いておいて。
私はお風呂入るから、先に寝てね」

洗面所には歯ブラシが2本、
メンズの洗顔セットが置かれて、
いつもと違う景色になっている。
 
綺麗がバスタオルを頭に巻いて、
風呂から出て来ると王子の姿が
ない。

部屋で寝たのか・・


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