現実主義者の恋愛事情・王子を一時預かりします  レイと綺麗

グランドでは男の子たちが、
野球で遊んでいる。
ギャーギャー騒いで、
盛り上がっているのだろう。

綺麗は何気なく、グランドを見た。
男の子が一人、
グランド中央であおむけになって寝ている。

何かふざけているのかな・・
周囲の子どもが、走り寄っているのが見えた。

あれは・・違う・・
子どもたちが、パニックになっている・・
「ちょっと・・変?見てくる!!」

綺麗がグランドに向かって、
走り出した。
子どもたちが輪になってつっ立っているのを、どやしつけた。
「ほらっ、どきなっ!!」

綺麗は仰向けに倒れている
子どもの脇に座り、顔を覗き込んだ。
肩を叩き、大声で声をかける。

無反応・・・意識がない・・
すぐに首に手をあてて
脈を診るが・・・

「救急車呼んで!
それからAED持ってきて!!」

すぐに胸に両手を当てて
心臓マッサージを開始した。

「キレイさん、僕がやります。
連絡してください」
王子が隣で、早口で言った。
「ボーイスカウトでやりましたから!」

「頼むわっ!」

綺麗はすぐにバックから
スマホを出した。
「救急要請です。
意識がなく、今心肺蘇生をやってます。
・・男の子、年齢は中学生」

綺麗は一人の男の子を捕まえて聞いた。
「名前はっ?どうしたの!!」

「孝君、
ボールが当たったら倒れた・・」

「どこに当たったの!!」
「胸のところ」



< 31 / 45 >

この作品をシェア

pagetop