雪山での一夜から始まるような、始まらないようなお話。
「ねぇ、このお皿ってここにしまえばいいの?」
「そう、そこ」

 拭いたお皿を重ね、食器棚を見ると、空いている部分を見つけた。進藤がうなずく。
 
「これは?」
「その上」

 言われた場所は、手を伸ばしてぎりぎりのところで、私が背伸びして入れようとしていたら、後ろから食器を奪われ、しまわれた。
 それはいいんだけど、背中にぴったりと進藤がくっついたままだ。

「ありがと……?」

 振り返ると、いきなり唇を塞がれた。

「んっ、んん!?」

(なにすんのよ!)
 
 離れようとするけど、後頭部を押さえられ、舌を絡められ、身体はキッチン台と進藤に挟まれて、身動き取れない。しかも、右手はさわさわと胸を撫でてきた。

(進藤の病気がまた始まった……)

 さっきもしたのに、もうムラムラが復活したのかしら?

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