雪山での一夜から始まるような、始まらないようなお話。
「夏希……、こっち向けよ」

 進藤が私の肘を掴んで、振り向かせる。
 丸い黒目がちの目がすがめられ、熱く私を見る。
 性急な様子で、口をつけてくる。
 
(そうだ。私はこいつのコレが好きだった。この余裕のない顔も。だから、受け入れちゃうんだ)

 理由がわかって、スッキリする。
 そんな冷静な私と、キスをされながらいいところを擦りあげられ快楽に溺れている私がいた。

 背中を反らして、お尻を突き出し、昇りつめるまであっという間だった。

「ん、あああーーーッ」

 ガクガクと脚が震えて、猛烈な快感が背筋を走る。
 そこに何度か進藤が打ちつけてきて、止まった。

「はぁ……はぁ……」

 荒い息が耳元で聞こえる。
 進藤が私の頬を掴んで、また口づけてきた。念入りに舌で口の中を舐り回す。
 ヤツに貫かれたまま、キッチン台に手をついてぐったりとしていた私は為すがままだった。
 私を貪りつくして満足したのか、ようやく進藤は私から出ていく。
 カクンと座り込みそうになるのを進藤が支えて、ソファーに連れていった。
 進藤はティッシュでベタベタなところを拭いてくれて、自分も処理をすると隣りに座った。

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