極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
「未亜」

 密着したまま耳元で甘く囁かれ、身をよじりそうになるが衛士に覆いかぶさられている状態なので抵抗できない。さらに耳たぶに口づけられ、背中が浮き上がりそうになった。

「やっ」

「相変わらず、弱いな」

 満足そうに呟き、衛士は私の左頬に触れそっと撫でる。それと同時にまた唇で耳を刺激しはじめた。

「や、だ」

「嫌? 本当に?」

 わざと息を吹きかけられ、ねっとりと耳介を舐められる。悲鳴にも似た声が私からあがったが、衛士は気に留めず柔らかく耳を食み、舌先を這わしていく。

 顔を動かそうにも添えられた衛士の手が許してくれない。もう片方の空いている手は胸元へ滑らされ、やわやわと膨らみを攻め立てられていった。

 その触り方も絶妙で、もどかしささえ感じてしまう。どこに神経を集中させればいいのかわからず、脱いだはずなのに体が火照って苦しい。

「衛、士」

 涙腺が緩み、助けを求めるように彼の名前を呼ぶと、衛士はゆっくりと顔を上げた。

「も、これ、以上は」

 至近距離で私を見下ろす彼に、切れ切れに訴えかける。衛士は不敵な笑みを浮かべ、私の頬を大事そうに撫でた。

「これ以上したらどうなる? 俺はもっと乱れる未亜が見たいんだ」

 湿り気を帯びた前髪からのぞく衛士の目は、劣情に揺れて吸い込まれそうだ。

 視線を逸らせず、捉まった私はなにも言えなくなる。代わりに目尻に溜まった涙が零れ落ちそうになるが、衛士の舌がすぐさま舐めとった。
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