あやかし戦記 怪物の城
イヅナが真面目な顔で返事をすると、チターゼはフッと笑って離れていく。

周りを見れば他の団員たちも、互いに励まし合い、「生きて帰ろう」と未来を約束している。

「イヅナちゃん」

声をかけられ、振り返ればベラが立っていた。そして、一瞬のうちにベラに抱き締められる。

「イヅナちゃんがアレス騎士団にいてくれて、本当に嬉しかったの。吸血鬼で、ギルベルトさんの屋敷を襲ったのに、信じてくれて……。ありがとう」

「お礼を言われることなんて、何もないですよ。言うとしたらこっちの方です。ベラさんのおかげで、アジトの場所がわかったんですから」

イヅナはニコリと笑い、同じくらいの身長のベラをジッと見つめる。ベラは涙を浮かべながら笑い、「人に戻れたら、一緒に出かけたいな」と言って離れていった。

「イヅナ」

ベラが去って行った方向を見ていたイヅナは、ギルベルトに声をかけられる。振り向けば、ギルベルトは頬を赤くしながらイヅナを見つめていた。
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