路地裏Blue Night.




『兄ちゃんとユーリ!はやく!こっちこっち!!』


『睦月!迷子になったら死ぬよ!ちょっと待てって…!』


『あははっ!死なねーよっ』



繁華街に飛び出すように駆ける弟と、それを必死に止める幼なじみ。

僕はそんな2人を見るのが好きだった。



『おい皐月!おまえ睦月の兄貴なんだからもっと心配しろって…!』


『はは、あいつはどうせビビりだから放っておけば戻ってくるよ。それに僕より兄ちゃんがいるから…ね?』


『……うるさい』



どちらの親も子供に無関心、常に忙しくしている資産家やら社長やら。

だからその息子たちがこんな危ない街に毎日のように向かっていたとしても心配もしない。


僕と侑李が15歳、2歳年下の弟は13歳だった。



『きゃあっ!ひったくりよ……!!私のバッグ…っ!誰かあいつを捕まえてぇぇっ!!』



治安が悪い街だというのに、人は常に賑わっていた。

それは人間の欲を満たしてくれるものがお金で買えてしまうからだ。


それが観羅伎町。



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