路地裏Blue Night.




それはさっちゃんのポッケに入ったスマートフォン。



「さっちゃん、…おでんわ、」


「…おでんわ、」



冷蔵庫に背中を預けてしまうくらい、目の前は迫ってた。

右手は私の手を掴んで、左手は壁ドンならぬ冷蔵庫ドン。


改めて見るとすごい体勢…。



「あとでいいよ。続き、しよう」


「うえっ、いや!大事な電話かもだし…!」


「へいき」



いや駄目だよ…!!

大事なお客さんかもだし、新しい依頼かもだし…!


それに続きって……続きって…!


そんな私の抵抗に諦めてくれたらしい───けど。



「…ごめん、僕。うん、うん、…じゃあそこに居るってことだね」



え、まって!?

この体勢のまま出るの…!?



「わっ…!」


「…ううん、なんでもない。ちょっと近くにミオもいてさ」



がくっと前のめりになってきたかと思えば、寄り掛かられるように応答だと。

それに私のこと話してるってことはS.Roberのメンバーから…?


なんの話だろう…。

てかこの体勢で電話出るってなにっ、どーいうこと……!?


しばらくすると「ありがとう」と言い終わって、ピッと切られた。



「さ、さっちゃん…?」


「ミオ、」



さっきまでとはまたちがう優しい目。

困惑する私を引き寄せるようして、ゆっくり髪を撫でてくれる。



「───君のお母さんが見つかったよ」


「……え…?」



色んな意味で放心状態の私に、これまたすっんごい話題がきた。



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