義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

「ほ、本気?」
「本気じゃなきゃ義兄妹と付き合おうなんて厄介なことはしない」
「……いいの、かな。我慢しなくても」


 涙腺が緩むほど感激して、目の前の彼の顔がぼやける。

 今にも崩れそうな崖の上に立っている感覚。でも怖さはない。落ちたら、溺れるのは彼の愛なのだから。


「私も聖さんに、恋、してたの。これからも好きでいていいの?」
「いいに決まってる。ずっと好きでいて、俺だけを」


 愛しそうに笑った彼は、泣きそうな私をその腕でぎゅっと抱きしめた。とうとう足元が崩れて落ちた私を、しっかり受け止めるように。


「成人式のときも今日も、六花が男といるだけで情けないけど嫉妬してた」
「ごめんなさい……」
「とっくに限界超えてるんだよ。もう義兄妹なんかじゃいられない」


 いつも余裕のある聖さんとは違う、切なさと焦燥が滲む声に胸が締めつけられる。私たち、同じ気持ちだったんだ。

 少し身体を離し、熱い視線を絡ませた瞬間、唇が奪われた。柔らかくて温かい、初めての感覚に心臓が止まりそうになる。

 聖さんの体温、息遣い、匂い。全部が愛しくてたまらない。少しの背徳感も抱きながらそっと目を閉じ、全神経を使って口づけを堪能した。
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