義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

 確かに、優しい彼なら私の事情を知って、家族のように寄り添ってくれていたということも十分ありえる。純粋な愛情ではなく、同情から。

 だとしても、彼が今私に与えてくれているのは立派な愛だ。そう自分を勇気づけるも、碓氷さんは淡々と私を追い詰める。


「今また筧に容疑がかかって、昔の事件も掘り下げられている。菅屋のことまで調べる記者も出てくるかもしれない。最悪あなたのところにまで行きついたら、水篠先生にも迷惑がかかるんじゃないかしら」

「迷惑……?」

「どこから情報が漏れるかもわからない世の中だし、きっと好き勝手に騒ぎ立てる人もいる。〝元秘書の娘は、義理の兄と禁断の関係に〟……とかね」


 彼女の言葉は決してありえないものではなく、不安を増幅させた。

 私が本当に犯罪者の娘だとしたら、世間の心象はよくないかもしれない。その上、義兄妹で付き合っているなんて知られたら、確かに聖さんまで偏見の目で見られてしまいかねない。そんな事態になるのは稀だと思いたいが。
< 192 / 265 >

この作品をシェア

pagetop