義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

「アタシもひとつ決めたことがあるんだ」


 力強い意思を感じる眼差しを向けられてドキリとする。一瞬彼女を取り巻く空気が変わるような、この目をするアキちゃんは久々に見た。

 私たちは彼女が抱えている複雑な事情を知っている。〝決めたこと〟というのはそれに関するものなのかな、と考えつつ問いかける。


「なに?」
「成人式まで内緒」


 彼女はふっと表情を緩めて唇に人差し指を当てた。いつもの〝女の子らしい〟アキちゃんだ。

 なにを秘めているのかも気になるけれど、再来月にあるイベントの存在を思い出して、私と小夏は丸くした目を見合わせる。


「そうだった、成人式!」
「また皆で会えるじゃん、やったー。ウチの店でお酒飲もうよ」
「もちろんそのつもり」


 三人で笑い合っているうちに、アキちゃんへの小さな疑問は頭の片隅に追いやられていく。

 それからは成人式に着ていく着物はどうするかとか、同級生たちはどうなっているだとかの話で盛り上がり、時間の許す限り女子会を楽しんだ。

 その頃、私と聖さんの関係はどうなっているだろうかと、大きな不安と少しの期待を入り交じらせながら。


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