義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

「Aラインのドレス、りっちゃんに似合っててすっごい可愛い~! ガーデンの雰囲気も相まって妖精みたい!」
「褒めすぎだよ、アキちゃん」
「いや、昌さんの言う通り」


 横から口を挟んだ聖さんが真顔で頷いていて、私は失笑した。相変わらず甘い彼に、アキちゃんは「水篠さんも王子様みたいですよ~」なんて言っている。

 しかし、私が気になるのはアキちゃんの隣でハンカチを目元に当てている小夏だ。少し長くなった髪をアップにした彼女は、うさぎみたいに目が赤くなっている。


「よかったねぇ。カテキョ時代からの恋が実ったんだもんねぇ。本当によかった〜」
「ちょっと、もうそんなに酔っぱらってるの?」


 私は呆れた調子で苦笑いした。

 彼女は一定の酒量を超えると、あるときは笑い上戸に、あるときは泣き上戸になるのだ。これは一緒にお酒を飲むようになってしばらくしてから発覚したこと。

 でも、小夏はサバサバしていても実は感受性豊かな性格だ。聖さんに片想いしていると思って相談していたときも、過去の事情を打ち明けたときも、小夏はいつも親身になってくれた。だからこそ感極まっているのだろう。
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