義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

「俺は家族と来ています。この子は義理の妹の吉越六花。彼女は俺の事務所で働いている、パラリーガルの碓氷霧子(きりこ)さんだ」
「義妹さん……」


 私が義妹だとわかった途端、碓氷さんの顔に安堵の色が浮かんだ気がした。私は彼の恋愛対象外の女だと思われているようで、ちくりと胸が痛む。

 そして、碓氷さんは毎日聖さんと一緒に働いている人だった。私の知らない彼を知っているのだと思うと、それだけで心が濁ってしまいそうになる。とても綺麗な人だし、パラリーガルという職業も尊敬するし。

 醜い嫉妬が湧く自分に辟易していると、碓氷さんは私としっかり向き直って頭を下げる。


「申し遅れました。碓氷です」
「吉越です。あ、義兄が、お世話になっております」


 この挨拶で間違っていないよね?と思いながらぎこちなく言い、私も頭を下げた。義兄と口にするのはまだ慣れない……。

 姿勢を正した碓氷さんは、小さな桜色の唇でわずかに笑みを作る。


「先生から話は聞いています。可愛らしい義妹さんですね」


 口角は上がっているものの、彼女の顔に先ほどのような輝きはなく、口調も淡々としている。嫌な印象は受けないが、とびきり愛想がいいとも言えない。
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