別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
そんなふうに考えたことがなかった私は驚いたけれど、甘えてばかりでなかなかひとり立ちできないと気にしていたので、少し心が軽くなった。


「それと、なんでもひとりでやる必要はないよ。俺だって、いろんな人に助けてもらいながら生きている。皆、得手不得手があって、努力してもうまくできないこともあるんだ。だからといってダメなわけじゃない。……あっ、ため口すみません」

「いえ、そのほうが話しやすいです」


私はそう伝えながら、彼の言葉を噛みしめていた。

前の会社にいた頃は、ほかの人たちと同じように、相手が誰であろうと会話を盛り上げないと、と思い込んでいた。

だから最初は必死に話を合わせるけれど、思ってもいないことを肯定するのも相手によって主張を変えるのも嫌で、結局は会話が苦痛になる。

そうなってしまったのは……私の前では親切な友人の顔をしているのに、陰で悪口を言う人がたくさんいたからだ。

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