別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「その子に重さんのおいしい味を教えてあげたかったんだよね。それにお母さんの野菜を食べてほしいという願いも叶えてあげた」
「そんな大げさですよ」


そこまで深く考えての行動ではなかった。
でも、そういうふうに考えれば、いいことをした気もする。


「大げさじゃないよ。心春さんにしてみれば、ちょっとした気遣いだったかもしれない。でも、きっとその親子にとっては最高のプレゼントになったはずだよ。それに、心春さんが思いついてくれたおかげで、俺までうまいコロッケが食べられる」

「そっか……」


彼の話を聞いていると、自然と笑顔になれる。

まだよく知らない人とこんなにリラックスして会話ができたのは久しぶりだ。


「でしょ? えーっと、このマンションの裏かな?」
「そうです。そこを左折したところです」


車はアパートの前に滑り込んだ。


「今日は本当にありがとうございました」
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