別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「大切な人がいるみたい。そばにいたいけど、重荷にはなりたくないって。わけありなのかな?よくわかんないけど」


そう伝えると、絵麻は黙り込んでなにかを考えている。

そういえば、重荷にはなりたくないって、どういう意味なのだろう。


「……それ、心春のことじゃない?」
「私? そんなわけないでしょ」
「人付き合いが得意そうじゃない心春の負担になりたくないってことじゃない?」
「まさか」


即座に否定したものの、心臓がいつになく激しく打ち始めたのに気づいた。


「送ってもらったお礼に、料理を振る舞うとかどう? でもお医者さまってお休みが不規則か……」
「今日はお休みだって」


私がそう漏らした瞬間、絵麻は目を大きく見開いて立ち上がった。


「ちょっと、こんなところにいる場合じゃないでしょ。あー、肉じゃが!」


いきなりどうしたの?

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