別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
重さんが店頭に姿を現した瞬間、怒りを吐き出す男性に先に声をかけたのは、店内に入ってきた別の男性だ。

外まで声が響いていたらしい。


「は?」
「たしかに食彩御膳はうまい。そんなに食いたければ、もっと早く来る努力をすればいい」


はっきり言い返しているのは、天沢(あまさわ)さんだ。

彼は週に二、三度顔を出す常連客で、いつも笑顔で接してくれる、とても素敵な紳士だ。

見上げるほど背の高い彼が、凛々(りり)しい眉を少し上げて怒りを表す。
黒目がちな切れ長の目はいつも優しい色をしているのに、今日は鋭く光っていた。


「お前には関係ないだろ」
「俺はここの店のファンなんだ。店の迷惑になる客は来ないでほしい」


すごまれてもひるまない天沢さんに、男性客はチッと舌打ちをしてさらに威嚇している。
しかし、天沢さんはキリリとした表情を崩さない。


「俺は金を払ってるんだ」
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