嘘と、恋。
私は、康生さんの左手にガーゼを当てて包帯を巻いて行く。
グルグルと何重にも。
とりあえず、沢山巻いて欲しい、と康生さんに言われた。
「康生さん、ナガクラさんの事嫌いなんだけど。
でも、好きですよね?」
そんな風に感じた。
「え?俺、アイツの事、本当に大嫌いだし。
特にアイツの顔」
そう言われ思い出す、ナガクラさんの顔。
「ナガクラさん、けっこうイケメンですよね?」
「イケメン?それは認めるけど。
俺の嫌いな奴に、永倉の顔が似てて。
そいつは、永倉みたいにそんなイケメンじゃなかったけど」
「ナガクラさんが康生さんの嫌いな人に似てるから、
彼の事嫌いなんですか?」
そんな理由だけで、二人は仲悪いの?
「いや。
永倉と俺は同い年なんだけど。
同じようにアイツも中学卒業してすぐこの世界入ったみたいで。
アイツの組と俺の居る鈴城組は同じ聖王会系だから。
なにかしら、あちらと関わる事も多くて。
なんていうのか。
昔から、永倉の事はよく目に付いて、嫌いなんだよ」
康生さんはナガクラさんと、同じ歳なんだ。
康生さんの方が、若く見える。
「二人は、ライバルなんですね?」
私のその言葉に、康生さんは吹き出すように笑った。
「いや、そんないいもんじゃないけど。
ただ、もしこの先永倉が死んだら、ちょっとは淋しいかもな」
やっぱり、ナガクラさんの事嫌いとかいいながら。
「もし、ナガクラさんを殺すのが、康生さんでも?」
その私の問いに、康生さんは小さく微笑んで頷いた。