離婚しましたが、新しい恋が始まりました


 秋から冬にかけては、風邪を拗らせた肺炎患者や、脳血管障害や心臓疾患の患者が増えてくる。命に関わるケースもあるだけにERでも気が抜けない日々が続いていた。

紬希が夜勤をしていた土曜日の深夜に、救急車で若い女性が運ばれてきた。

「お願いします。27歳女性。意識レベル GCSは……」

ハンドバックの中にあった運転免許証から、名前と年齢が確認できたようだ。

「秦野里華さん、わかりますか?」

救急隊員や看護師が名を呼んでも反応はない。呼吸も浅かった。

「低体温と思われますが、どうして?」

「この近くの児童公園で倒れていたようです」
「公園?」

紬希のマンションの近くにある児童公園だろう。
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