離婚しましたが、新しい恋が始まりました


患者の名前を聞いて、紬希は気になっていた。同姓同名かもしれないが、貴洋の妻ではないか。
確か、里華と聞いたことがある。

「ご家族には?」
「はい、今連絡しています。ご主人がすぐにお見えになります」

夜勤の当番だった村上医師が、すぐに点滴の指示を出した。

「至急、血液検査を頼む。有沢、採血!オーダーは……」

「わかりました。高山、お名前を呼んで意識を保つようにして」
「はい。秦野さん、秦野里華さん、聞こえますか?」

高山の声に、里華が少し眉をしかめた。良く見たら着ている者は高価なブランドのスーツだが少し襟元などが汚れていたし、黒いパンプスは埃っぽくてツヤが無かった。

もしも秦野の妻なら、どうして公園で倒れていたのだろう。紬希には疑問しか浮かんでこなかった。


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