離婚しましたが、新しい恋が始まりました


有梨は、理想の男性と上手くいきそうだと話してくれた。

「あ、昨夜の沢村ドクターね。もうそんな話になってるの?」

「まだだけど、次の約束したし連絡先も交換したし」
「頑張ったね、有梨」
「上手くいくよう、祈っててね」
「もちろん」
「紬希は?あの小学校の先生といい雰囲気だったけど」

「ああ……。いい人だったけど、そんなつもり無いから」
「残念。でも、紬希、いつかは……」
「うん、そのうちにね」

有梨は、離婚以来いつまでも男性に心を開かない紬希を心配してくれているありがたい友人だ。
その気持ちは嬉しいが、そうなった理由を彼女は誰にも話せない。

(まさか、男性に触れられるのがイヤだなんて誰にも言えない)

患者さんやドクターなら大丈夫なのに、日常生活ではなるべく男性と距離を取りたいし満員電車も避けたい。
結婚生活での経験がトラウマになっているのか、離婚の時のダメージが大きかったのか紬希はどうも男性との肌の接触が苦手だった。

(仕方ない。三年経ってもダメなものはダメなんだ)

この先、自分はずっとこのままだとしたら……子供も作れない。
それだけが紬希の心を重くしていた。

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