離婚しましたが、新しい恋が始まりました


(あの先生の担当が腎臓内科なら、あまり会うことはないはず)

紬希はERで救急患者の担当だし、彼は慢性疾患を抱える患者さんを診ている。
紬希はそう考えて、苛立つ気持ちを鎮めた。なるべく元夫の事を思い出させる人に会いたくないのだ。


その日も慌しく過ぎた。重い怪我をした人や意識を失った高齢者、喘息の急性増悪の子供……。
ありとあらゆる疾患で老若男女問わず運ばれてくるのだ。一日が終わる頃には、若い紬希でもぐったりだった。

ロッカーに戻ると、夜勤の有梨が着換えていた。

「お疲れ」
「今日は忙しかったよ~」

「いつもじゃん。ERの宿命だよ」

有梨はご機嫌だ。
「何かいいことあった?」
「ウフフ、実はねえ……」


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