離婚しましたが、新しい恋が始まりました
幼い頃から家族ぐるみの交流があったので、貴洋は紬希から見たら親戚のお兄さんようなものだ。
真面目で医師として勉強熱心な人だったし、この人となら穏やかな家庭を築けるのではと思えたので結婚に踏み切った。だが、家から早く出たくて焦っていた紬希は、彼の本質に気付いていなかった。
彼女の淡い期待はわずか半年で砕け散った。
結婚前から彼には恋人がいたようで、その人が妊娠したと彼から告白されたのだ。
貴洋の父は烈火のごとく怒って息子を叱ったが、母親の八重子は息子の恋人の肩を持った。
何しろ貴洋の恋人は、姑が待ち望んでいた初孫を妊娠したのだ。
『だって、紬希さんは子供作る気が無いんじゃない?』
夫も同席する席でそう言いきる姑に紬希は言い返せなかった。
夫とは子供をいつ作るか相談していなかったし、妊娠するほど彼に抱かれていないというのに。