離婚しましたが、新しい恋が始まりました

結婚してから、貴洋の様子がおかしいとは思っていた。

紬希は夫の両親と同居したので、秦野医院の看護師として働きながら家事もこなしていた。
毎日が目が回るほど忙しくて、まだまだ子供の事など考えられる状態ではなかったのだ。

大学病院に勤務していた貴洋もかなりハードな毎日だった。
おまけに夫は淡白な人で、結婚して二月もしたら月に数回、紬希に触れる程度。
これはいくら世間知らずの紬希でも気がついた。

(私は、愛されていない)

後から思えば、彼のエネルギーはすべて恋人の里華(りか)に注がれていたのだろう。
離婚の話を切り出された頃には、もう夫婦としての営みはなくなっていた。


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