離婚しましたが、新しい恋が始まりました


叔父と二人、客に囲まれてにこやかに笑っている逸子と結衣を見る。
釘をさしておいたつもりだが、二人とも偲ぶ会にしては華やかな装いだ。逸子のスーツはワインレッドだし、結衣は花柄のワンピース姿だ。叔父は面白くないのか憮然としていた。

「……今日は、もしかしてあの子の見合いも兼ねているのか?」

さすがに叔父は気がついたらしい。結衣の周りには若い男性が何人も立っている。美人で愛嬌のある結衣は、容姿といい職業といいハイスペックな彼らに囲まれて満足そうだ。

「そのようですね」
「紬希……お前にはすまないことをした」
「叔父さま」
「兄さんが死んだ後、お前には幸せになって欲しかった。有沢の家には住みにくくなっていた様だから、秦野家なら安心だと思って嫁に出したんだが……」


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