離婚しましたが、新しい恋が始まりました
階下が賑やかになっていた。紬希も手を洗ってメイクを簡単に直すとホールに向かった。
もう七回忌が過ぎているから親族はまばらだが、どちらかというと義母が言っていた結衣の結婚相手の候補らしい若い男性の姿がチラホラ見えた。
紬希は叔父の姿を見つけると挨拶に向かった。
「叔父さま」
「おや、紬希。久しぶりだね」
亡くなった母の弟である叔父は、いつも紬希のことを気にかけてくれている。
「ご無沙汰して申し訳ありません」
「ホントだよ。忙しいのは知ってるが、たまには家に顔を出しなさい。絵里子が淋しがるよ」
「今日は絵里子叔母さまは?」
いつも豪放磊落な叔父が、声を落として紬希にだけ聞こえるようにこっそりと言った。
「来るわけないだろう。あの人とは犬猿の仲なんだから」
「そうでした」
二人で顔を見合わせてクスクス笑ってしまった。逸子と絵里子はタイプが似ているので、
親族が集まるとお互いに自己主張が強くてケンカになってしまうのだ。
「ところで、今日は見ない顔が多いな」
「はあ……チョッと理由があって」
紬希は、さすがに義妹の結婚相手の候補が集められたとは言い出しにくかった。
口をつむぐと、叔父の方が察してくれた。
「これは聞かない方が身のためってことだな」
「叔父さまには会社の事でお世話になってますのに、家の中の事までは申し訳なくて」