離婚しましたが、新しい恋が始まりました
その頃、紬希は焦っていた。結衣と約束したとはいえ、忙しい病院勤務では中々磐に会うチャンスは無かった。季節はもう夏だ。早くしないと、義母から文句を言われるかもしれない。
「やっぱり引き受けるんじゃあなかったわ」
「何ぼやいてるの?」
「あ、有梨」
最近有梨は表情が明るい。きっと沢村ドクターと上手くいってるんだろう。
「チョッと、光宗先生に用事があるんだけど、会えなくて」
「そりゃあ無理だわ。週三回しかここに来ないし、フロアも違うし……」
「だよね~」
「なら、沢村君に聞いてあげようか?」
「え、悪いわよ」
「今日、これから会うし」
「あ、デートだったのね」
「うん!」
有梨の声は弾んでいた。
「申し訳ないけど、お願いできる?」
幸せそうな友人にこんなお願いをするのは申し訳なかったが、このままズルズルと頼まれた事を放ってもおけない。紬希は義妹の結衣が光宗を好きになったらしいと親友に告げた。
「え~っ!あの義妹、光宗先生に目をつけたの?」
「有梨ちゃん、声が大きいわ。誰かに聞かれたら……」