離婚しましたが、新しい恋が始まりました


 午前0時を過ぎて、紬希の勤務が終わった。
私服のTシャツと細身のパンツに着換えて通用口から出たら、クーラーの効いていた院内とは違って
外の空気はムッとしていた。まだまだ残暑は厳しい。
マンションまでゆっくり歩いて帰ろうとしたら、目の前に黒いセダンが止まった。

「お疲れ」
「あ、光宗先生?」

有沢家でディナーをとり、もう帰宅しているはずの光宗が紬希の前に現れた。

「送るよ。乗って」
「いえ、近いので大丈夫です」
「こんな時間に歩いて帰るつもりだったのか?」
「え、ええ……」

信じられないといった表情で光宗は車から降りると、助手席のドアを開けて紬希に乗るよう促した。

「心配だから、乗ってくれ」
「それでは……お世話になります」

紬希を乗せた車は滑るように走り出した。

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