Life is a flower
「いやいや!そんな謝らないでください。それより、声どうしたんですか?」

びしょ濡れで帰って風邪を引いたとは言えない…。

「えっと…中村あゆみに憧れて潰してみました」

またしても同じネタで誤魔化したが、その彼はじっと私を見て笑わない。滑ったかな…。

「そうだ、また花束作ってくれませんか?この前の花束もとても素敵だったので…」

あれ?今日は傘を返しに来てくれただけじゃないの?

ここが自分の店なら、無理して買い物しなくていいと言えたけれど、バイトの私がそんなことは言えない。

「ありがとうございます」

そう言って、私はこの優しい人のために、また真剣に花を選ぶ。
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