Life is a flower
「待って!せめて名前だけでも教えてくれませんか?…僕は、大河内理仁といいます!」

後ろからそんな声が聞こえるけれど、今度こそ、その言葉にも振り返らない、歩みも止めない。

リヒトさんっていうんだ…はじめて知った。

今此処で、彼の優しさに甘えてしまえば、きっと私は一生自分を許せない。

涙がまた溢れる。

とても温かな涙が…。

心のなかで、リヒトさんに何度もありがとうと叫びながら、私はただ歩き続けた。
< 35 / 42 >

この作品をシェア

pagetop