お館様の番選び
んっ?…目を反らし…た?

最初はわたしも分からなかった。

でももう一度こちらを向いた朧の目の際がほんのり赤く、子どもながらに色気を感じ、急いでスカートを下ろしたのだった。

恥ずかしかったが、それと同時にやっとかと安堵する気持ちもあった。

朧が異性を意識することが出来るようになったということは、同時に番を見つけることが出来るようになったということも意味していた。

その日のうちに族長である父に報告すると、父は大喜びしお館様のもとへ向かった。

これで本格的に朧の番選びが始まると思った。

でも、朧は嫌がったのだ。まわりがどんなに番選びが大切なことか説明しても駄目だった。

朧は今まで通りの生活を望んだ。

わたしたち兄弟とともに過ごし、わたしの後をついてまわった。
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