お館様の番選び
朝食を終えると、朧は中学校の制服に着替え、わたしの運転で初登校する。

今日は中学校の始業式で、これからの3年間、朧と共にここで過ごすことになる。

自分も通っていた中学校に改めてお世話になりますとペコリとお辞儀するすると、何してんのと朧が微笑んだ。

「キャー!見た?朧様が微笑んでるー!」
「誰ー?隣の小さいのー?」

なんだか注目を集めてるなー?主に女の子からの視線が痛い。

てか、小さいだとー?と憤慨してると朧に頭をぽんぽんとされた。

「よしよし。」

やめてくれ。
女の子たちの悲鳴があがる。やっぱり次期当主の朧の人気は凄かった。

皆、わたしはただの使用人だからねーとアピールしつつ、校舎に向かう。

父からの教えによるとお館様の一族はほかの獣人たちと同じように学生として高校まで過ごす。

そこで友達を得たり、思い出を作ることも大切なことなのだ。

だが、受ける授業の内容はほかの獣人たちとは異なるため、主な行事は出席するが、授業は別に用意された部屋で大学より教授を招いてお館様としての知識をつけていく。

父から聞いたことによると、朧は小学生の間に高校生までに学ぶことは全て終えているとのことたった。

知らなかった。知っていれば、自分の勉強の相談をしたのに……。
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