お館様の番選び
と、それはさておき……授業以外の時間は朧もいたって普通の中学生活を送る。

お昼になれば、友達と一緒にお弁当を食べ(女の子の数多いなー)、放課後の部活の時間は身体を鍛えるため武術を習う。

わたしも護身術を身に付けるよう父から言われていたのでこの時間を利用して体育館の隅をお借りして一緒に汗を流していた。

部活も終わり、お屋敷に戻ると朝と同じように朧専用の浴室に朧を放り込む。

その間にこれまでの朧の様子を父に伝えるための報告書をある程度まとめておく。

また朧宛に届いた郵便物(主に番候補から届いた奉納物)の整理を済ませるとお風呂から出て部屋着に着替えた朧と共に夕食の時間だ。

再びお館様ご家族との食事は朝程ではないが緊張した。まぁ慣れるのもすぐのことだったけど……。

夕食を終えると、朧の部屋に戻り今日届いた奉納物の中に番がいないか確認してもらう。

朧は一瞬顔をしかめるが、わたしが手にしているものを一瞥すると「いない。」と一言いって、勉強机にむかう。

…おい。もっとちゃんとみろ。

確認の終わった奉納物を神社の奉納物保管所の担当者に渡して、父への報告書をまとめ、父に提出するまでがわたしの仕事だ。

それが終わるとわたしも朧専用の浴室を使わせてもらい身綺麗にして朧に就寝の挨拶にいく。朧はまだ勉強中だった。
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