お館様の番選び
「……あいつ。……あかりちゃんについてまわるとは聞いてたけど……まさか……」

「朔様?…まさかって…まさかって何ですかー??」

「……いや。朧にはちゃんときつくと言っとくよ。ごめんね。あかりちゃん。このままだと誰もあかりちゃんに寄ってこれないよね。今まで恋人も出来なかったでしょ?」

「……はい……。」

「…やっぱり。…それ朧のせいだから。」

ピシッ。

「あかりちゃん?あれ?あかりちゃん?…聞いてる?……あー。驚かせちゃったかー…ったく、朧のやつ、お気に入りだからってこんなにべったりマーキングするか?……」

……マーキング……マーキングって?……はっ?!

「すっすみません。朔様。わっわたし、もう一回お風呂お借りしますーーーーー」

「あっあかりちゃん?!……………お風呂に入ったぐらいじゃ………無……駄……だ…行っちゃっ……た……」

その夜の風呂場はあかりの貸し切り状態で
中からは「朧のバカー」と叫ぶ声がしばらく続いていた。
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