ただ、まっすぐ君を想う。

「相変わらず、愛は彼氏途切れないね」



「うん、そーだね」



クリスマスが終わって

まだみんながクリスマス気分に浸りたい今日

凰ちゃんが帰って来た



私のサンタさん



お姉ちゃんがいなくなって

リビングのコタツの中は

凰ちゃんと私ふたりになった



お姉ちゃんは

わりとずっと彼氏がいて

いつも彼氏中心



せっかく凰ちゃんが

何年ぶりに帰って来てるのに

こんな時まで



凰ちゃんは

海外で仕事してる



今はオーストラリアにいるって

さっき言ってた



「懐かしいな、コタツ
雛(ひな)とよく一緒にコタツ入ってたよな
いつの間にかふたりで寝てて
汗かいて
風邪ひくでしょ!って
雛のママに怒られたよね」



「うん、それで凰ちゃん
うちでお風呂入って夕飯も一緒に食べたよね」



「うちの親、ほとんど家にいなかったからね
雛のママにはホント世話になった」



「凰ちゃんがここにいると
なんか嬉しかったよ」



「家族みたいだったもんな」



「うん…」



凰ちゃんは

私のこと

家族だと思ってても…



「雛の家、今日の夕飯なんだろな?」



「んー、
もぉすぐママ帰ってくると思うけど…」



私は家族だと思ってないよ



「じゃあ、オレそろそろ家帰るわ」



「え、夕飯一緒に食べてかないの?
ママもパパも凰ちゃんに会いたいと思うよ」



「さすがにオレも大人だから
そんな図々しいこと言ってられないよ」



「そーなの?
お土産だって買って来てくれたんだから
遠慮しないでよ」



「うん、後でみんなで食べてよ
ママとパパによろしくね
帰る時、また挨拶に来るから…」



凰ちゃんはホントの家族じゃないから

帰っちゃうんだ



家族じゃないけど

凰ちゃんと一緒にいたいよ



そんな都合のいいわがまま言う私は

まだ子供かな?



「凰ちゃん
またしばらく会えない?」



「ん?そーだな…
けど、明日は家にいるし
雛、ヒマだったら来いよ
あ、女子高生がヒマなわけないか
ヒマなのはオレだけか…」



「明日は、バイトで
その後、友達と…」



「うん、だから無理すんなよ
ヒマだったらって言ったじゃん」



「ヒマじゃないけど
凰ちゃんに会いたい!」



「雛、かわいいな…
お小遣い欲しいの?いくら?」



「そんなんじゃない!
私はただ凰ちゃんと…」



「じゃあ、お年玉用意しとくわ
オレもそんな年になったか…」



「ホントにそんなんじゃなくて…」



「うん、わかってる
ヒマなオジサンかまいに来てよ
待ってる」



かまわれてるのは

私じゃん



それから

待ってたのは

私だよ



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