ただ、まっすぐ君を想う。

「ハッピーニューイヤー」
「あけおめ!」



あ、年明けたんだ



周りの人の声で

年明けを知った



冴島くんの手は

いつの間にか

私から離れてた



コートのポケットから

スマホを取り出した



0:00



「オレ、友達と連絡ついたから
これから合流する」



「うん、よかったね」



「一条さんは?」



「私は、帰るって友達に連絡した」



「え、そーなの?」



「うん」



凰ちゃんのことが気になって仕方なかった



お参りも

凰ちゃんのことが好きです

って



神様に言っても

意味ないのに…



「じゃあ、そこまで送ろうか?」



「んーん、大丈夫だよ」



「バイト、ずっと忙しくて
一条さんと話してる暇なかったし
この前言ってた話もまだ聞けてないし…」



「この前の話…?」



「男関係の悩み」



「え、あ、忘れてたよ」



「そんな忘れられるような悩み?
一応、ジュースおごってもらったし聞くよ」



「いいよ、別に…」



「や、聞きたいし…」



「え、いいって…」



冴島くんに話しても

何の解決にもならなそう



「この前の人?
一条さんの悩み」



「この前の人?」



「うん
年上ぽかったね
一条さんのこと、雛って呼んでたけど
お兄さんじゃないよね?
あの人のこと、好きなの?」



凰ちゃんのことか…



好きなの?



冴島くんにバレてる



冴島くんなら

いいか



「うん…好きだよ…」



「雛!」



人混みの中

凰ちゃんの声が聞こえた気がした



「え!凰ちゃん」



ホントにいた



「雛、迎えに来たよ」



「こんばんは」



冴島くんが凰ちゃんに挨拶した



「こんばんは
あ…なんか、迎え必要なかった?
待ってたら眠くなってきたから…
じゃ、オレ先に帰るわ」



「凰ちゃん!一緒に帰る!」



凰ちゃんに

勘違いされたかな?



「一条さん、友達とはぐれちゃったみたいで…
オレ、友達と待ち合わせしてるんで
一条さんのこと、よろしくお願いします」



冴島くんがフォローしてくれた



「そぉなの?
なんかオレ、邪魔してない?」



「うん、邪魔してないよ!」
「ぜんぜん邪魔してないです」



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