ただ、まっすぐ君を想う。

「一条さん
あの人にチョコあげたの?」



バイトで冴島くんに聞かれた



「あの人って、凰ちゃん?」



「うん、ソレしかいないだろ」



「凰ちゃんのこと、ソレとか言わないでよ」



「ハイハイ…
で、あげたの?」



「あげてない
そーゆーの凰ちゃん嫌かな…って…
面倒くさいとか思われたらヤダし…」



「へー…
好きな人からもらったら
面倒くさいとか思わないよ
面倒くさいって思われたとしたら
おーちゃんは一条さんのこと
好きじゃないのかもね」



たしかに!



マメな彼女のことは

ホントに好きじゃなかったんだ



でも

こわいな…



あげなければ

お返しもないけど

嫌われもしない



「オレ、男子校だから
今年は1個ももらえなかった」



「今年は…ってことは
去年はもらえたの?」



「いや…去年も男子校だから…」



「男子校、関係ある?
どこかで冴島くんのこと
いいな♡って思ったら待ち伏せとかして
渡してくるよ」



「それって
待ち伏せまでして
オレにあげたい子がいないってことだよね?」



「んー…まぁ…
でも、夜家に届けに来るかもしれないし!」



「家知ってるとか
逆にこわいけど…」



「もぉ、面倒くさいな…
冴島くんにチョコ買ってあげるから!
コレでいい?
私の1時間分の給料に匹敵するヤツ」



レジの前にある

バレンタイン用のチョコを手に取った



「面倒くさいとか、ひどくね?」



あ…



冴島くん越しに

外から店内を見てる女の子が見えた



誰か探してる?



手にはバレンタインぽい紙袋をもってた



今日のバイトは

私と冴島くん



あと店長(女性)



え…

お店間違ってません?



ここ

今日の男性メンバーは

冴島くんしかいませんよ



え…

え?

え!



「冴島くん、もしかして…」



「なに?」



「ん、何でもない
私、そろそろあがるね
このチョコは、自分で食べるのに買う
お先に失礼します」



「結局くれないんかよ!
おつかれ!」



「おつかれさまー」



ハッピーバレンタイン♡



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