ただ、まっすぐ君を想う。

凰ちゃんのアパートに着いた



「わあ!
意外とオーストラリアぽくない」



「どんなの想像してたの?」



「おじゃましまーす」



「あ!待って!
そこで靴脱いで!」



「そーなの?
オーストラリアは土足って書いてあったよ」



「オレは土足許してないから…
オリバーも何度言っても
靴で入ってくるからさ」



「なんだ、日本みたいだね」



「オレ、日本人だから…
あ、それよりさ
さっきのなんなんだよ!オリバー
雛も雛だよ
ちょっと拒否しろよ」



「え?なに?」



凰ちゃん

ちょっと怒ってる



「空港でハグされてただろ」



「アレは挨拶でしょ!」



「しかも2回も!
こっちの人も特別仲いい人としか
そんなハグしないから…」



「え、そーなの?
ごめん、わかんなかった」



「まぁいいや…
荷物置いたら、ポテト食べに行く?」



「んー…
まだお腹空いてないし
ちょっとゆっくりしたい」



「そーだね
雛、疲れただろーし
結構長くいれるもんな」



こっちには1週間いる予定

そんなに長く旅行したことない



でもあっという間なんだろうな…



「部屋温まるまで待って…
なんか飲む?」



「うん、じゃーコーヒーで!ホット!」



「飲めんの?
飲めないだろ」



「いーの!凰ちゃんと同じので!」



「じゃあ、オレ、ココアにする
最近、ココア飲んでんだ」



「そーなの?
じゃあ…私も…」



凰ちゃんがココアを入れる横で

甘い匂いを嗅いだ



「いい匂いだね」



ココアの匂いと

凰ちゃんの匂い



匂いと温もりが感じられるくらい

凰ちゃんが

近くにいる



凰ちゃんは

ハグしてくれないんだ



特別仲良くない?

私たち



結構仲良いよね?

私たち



「ん?雛?なに?」



付き合ってたこともあったよね?

私たち



遠距離のまま

画面越しで終わったけど



「なんでもない」



何もなかった



せっかく会えたのに

もぉ付き合ってないしね

私たち



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