きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
力が入らなくなって、思わずドアノブから手を離す。

「えー、けど二人で出かけたんだろ?」

「宮本、いつも女子のこと『ウザい』とか『うるさい』とか言ってんじゃん」

「たまたま出かけただけや。付き合ってるわけないやろ」

やっぱり……そうだったんだ。

そうだよね。

女の子と絡まない宮本くんと仲良くなれたのは、ただ私が “そういう”女じゃなかったから。

それだけのことで、他意はなかったはずなのに……ただ、忘れてしまっていた。

だって……彼と一緒にいる時間はあまりにも楽しくて、幸せだったから。
だって……時には期待させるような言葉を言ってくれたから。

彼の行動や言葉に意味があるように思っていたのは、私の都合の良い解釈だったんだな……。

宮本くんは何も悪くない。

勝手に私が舞い上がってしまっていて、本当に彼は何も悪くないのだけれどー…

小さくため息をついた後、私はガラリと勢いよく教室のドアを開けた。

「え、高橋!?」「わっ!」

宮本くんと、彼と話していたクラスメイトたち数人が素っ頓狂な声をあげたけれど、私はそれらに反応することなく真っ直ぐ自分の席へ向かう。

ああ、いつもは大好きなこの席も、今日だけは嫌だな。
パッと荷物をとって帰りたいのに。

既に荷物をまとめていたカバンを机の横から取ると、視線を感じながらも何事もなかったように彼らの前を通り過ぎた。


「おい! 高橋!」

トントン、と階段を二段降りたところで、宮本くんが私の腕を掴む。

「……何?」

自分でもこんな声出るんだな、と思うぐらい冷ややかな声だった。

「……聞いてた? 今の……」

「今の? 『ただの友達』の私と『付き合っているわけない』って言っていたこと?」

「それはっ」

「聞いていたよ」

真っ直ぐと彼を見る。

悲しかったけれど、なぜか彼には涙を見せたくなかった。
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