きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「さっきはよくも、あれだけ言いたいことを言ってくれたなあ」

「……はあ」

やっぱり言い返したのはまずかったか。

けれど、仕方がない。

あれだけ酷いこと言われて黙っていられる程、出来た人間じゃないし。

そうは思いつつも、さっきまで確かにあった勇気と強気はどこかに行ってしまったようで、私は逃げるように彼から視線を逸らした。

そんな私を数秒間見下ろすと、宮本くんはそれ以上は何も言わず、私の前から去っていく。

「え、それだけ……?」

思わず、彼の背中に問いかけてしまう。

もっと暴言を浴びせられるかと思ったのに。

いや、断じて、もっと怒鳴ってほしかったとかではないんだけど。

予想だにしていなかった展開に、席へ戻っていく宮本くんの後ろ姿を見つめながら首をかしげる。

いやいや、相手はあの宮本くんだ。
彼がたった嫌味一言で許すなんてことはありえないだろう。
きっとどんな嫌がらせをしようか考えているだけだろう。

ああ、もう嫌だなあ。何されるんだろう。悪口とか言いふらされるのかなあ。さすがに暴力とかは無いよね……?

昼休みまでは確かに楽しくて幸せだったのに、一気に心が沈む。

けれどその日は授業が終わるまで、宮本くんが私に嫌がらせをするどころか、関わってくることすらなかった。
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