きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
前半戦は、1-0と勝ち越して終了し、十分間休憩に入る。

「悠斗、ちゃんと活躍していたね」

シュートは別の選手が決めたが、その選手に直前でパスを出したのは悠斗だった。

「見ているこっちがドキドキするわね……」

悠斗のお母さんは、緊張と不安、少しの喜びが入り混じった表情をしている。


バスケ部の試合はどうだろう。バスケ部は、今日の試合に勝てば準決勝のはずだ。

昨日学校で話した時に、相手は昨年の予選優勝校だからかなり厳しい試合になりそうだ、と宮本くんが言っていたことを思い出す。

どうか、勝っていますように。
違う会場にいる私は祈ることしかできないけれど、どうか勝っていますように。


「ねえ、まりちゃん」

悠斗のお母さんに話しかけられ、スマートフォンを閉じる。

「どうしたの?」

「思い間違いだったら申し訳ないんだけど、もしかして今日、別の用事があったんじゃない?」

「え?」

「スマートフォンを気にしている様子だったから……なにかあるのかなあと思って」

「あ、ごめんね……」

宮本くんは今試合中で、何か連絡が来るわけがないのに。

それでも気になって、何度かスマートフォンをみてしまっていた。

でも、目の前で選手が精一杯戦っているのに、よく考えれば、失礼だ。

申し訳なく思い身を縮めていると、

「違うの、責めているわけじゃないのよ」

悠斗のお母さんは、にっこり笑う。
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