きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
最後まで接戦だった。

しかし、最後の二分で、負けていた相手チームが怒涛の追い上げを見せると、あっという間に点差をつけられ、私たちの学校は負けてしまった。

三年生にとっては、これが引退試合になるのだろう。応援席へ終わりの挨拶に行く多くの選手が泣き崩れている。

そんな中、宮本くんは、ただ呆然とした様子で、応援席を眺めていた。


「高橋!!」

きっと今日はそっとしておいてほしいだろうな。

選手たちが会場を出てくるよりもずっと前に体育館を出た私を、誰かが呼びかける。

――誰か、なんて、とっくに気づいているけれど。

「宮本くん……」

まだユニフォーム姿の彼は、肩で息をしていた。

「私が来ていたこと……気づいていたの?」

「うん……佐々木が見つけて教えてくれた」

そうだったんだ。

応援席にいなかったし、全くこっちをみないから気づいていないかと思っていた。

「ありがとう。来てくれて」

負けてしもたけど、と彼は俯いた。


「けど……かっこよかったよ」

彼の目を真っ直ぐ見て伝える。

どうか、この気持ちが届くように、と祈りながら。

「一番かっこよかった」

一番かっこよくて、それで、

「好きだな、って思った」

言葉に出した瞬間、自分の顔がカッと熱くなったのがわかった。

けれど、それでも、伝えたかった。だって私。


「好きだよ、宮本くん」


この気持ちは、本物だから。

< 144 / 146 >

この作品をシェア

pagetop