きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「別に目的はないんだよね?」

「え、うん?」

「それならいいや」

宮本くんは、ぽかんと口を開けている。

「目的はないんでしょ? なら別に、どうでもいいや。てっきり『数学のノートを貸さないと、好きな人にバラす』って言われるかと思ったから」

澄まし顔で言うと、宮本くんはかすかに顔を歪めた。

「そ、そんなん、俺が言うわけ」

「真凛」

宮本くんの言葉に被せるように、悠斗が私の名前を呼んだ。

「悠斗! どうしたの?」

いつも教室では、寝るか、食べるか、宿題をしているか、の3択の悠斗が自分から話しかけに来てくれるとは珍しい。

「悪い、てっきり言うの忘れてた。今日、グラウンド整備で放課後の部活休みになったんだった」

「そっか! じゃあ今日は授業が終わったらすぐに帰れる?」

「おう」

「了解」

思わず声が弾む。

早く帰れるのなら、どこか寄り道したいな。
いや、きっと悠斗は自主練するだろうから、自主練するところをのんびり見るのもいいかも。

楽しみで笑みがこぼれた時、今まで黙っていた宮本くんが「ほんまに仲良しやなあ」と横から口を出した。

「二人は幼馴染なんやっけ?」

「え、うん、そうだけど……」

急に話し出した宮本くんに、私は身構える。

チラッと悠斗を見ると、悠斗も不思議そうに宮本くんを見ていた。

「ふうん、そっか」

宮本くんは悠斗をみて、ニコッと笑った。

「幼馴染は幼馴染でも、えらい仲良しな幼馴染なんやなあ」

こ、この人……、もしかして。
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