きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「なんだか、不思議な感じがするね」
「なにが?」

スマートフォンから顔をあげた彼と目が合う。

同時に、彼からメッセージが届く。

開けてみると、宇宙人みたいな変な生物が「こんにちは」と言っているスタンプが送られてきていた。

「なにこれ、変なの」

「え、かわいいやん! この可愛さ、わからんの? まだまだやなあ」

「うるさいなあ」

こんなに言葉を交わす関係になるとは思わなかったな。

言おうか迷ったけれど、改めて言うのはなんだか照れくさくて、私は「また日曜日ね」と彼に笑いかけた。

「うん。あ、もし今晩とか明日とか、川に飛び込みたくなったら連絡して。一応止めに行くから」

「“一応” なんだ」

「お前も揚げ足とるやん」

「宮本くんの真似しただけだよ。まあ、そもそも、飛び込まないから安心して」

「ほんま? よかった」

私の言葉に笑顔を見せながらも、「でもほんまに辛くなったら電話でもメッセージでもしてな」と優しい言葉を添えてくれた。

「うん、わかった。ありがとう」

「じゃあ、俺、帰るわ」

駅の方へ歩いていく彼の背中を見つめる。

「ありがとうね、宮本くん」

私が発した小さな声と共に、彼の背中は見えなくなった。

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